「転換期における外国人政策」“受入れ”から“選ばれる”労務管理へ

多様性

最近、コンビニで働く外国人をみかけませんか。

日本に在留する外国人は約396万人(2025年6月末)、
外国人労働者数は約230万人(2024年10月末)と、ともに過去最高を更新しました。

すでに外国人は日本の経済社会を支える一員となっており
在留外国人の増加ペースは一段と加速しています。

そこで、経団連は2025年12月、提言
「転換期における外国人政策のあり方~秩序ある戦略的誘致・受入れ環境整備に向けて~」
を公表しました。

はじめに

国際的な人材獲得競争が激化する一方、国内では人手不足が構造的課題となり
2026年1月には政府・与党も外国人政策の基本方針を取りまとめると報じられています。

まさに今、日本の外国人政策は「場当たり的対応」から
「国家戦略としての誘致・社会統合」へと転換期を迎えています。

本提言は、2030年頃を見据え
外国人政策を産業競争力の強化と社会の持続性の両立という観点から再構築しようとするものであり
企業実務にも大きな影響を及ぼす内容となっています。

「受入れ」から「戦略的誘致」へ

提言の根底にあるのは
「外国人を労働力として受け入れる」という発想からの脱却です。

経団連は、次の3つを基本原則として掲げています。

  1. 「受入れ」から「戦略的誘致」への転換
    質と人数の両面で十分にコントールされた秩序ある受け入れ
  2. 包摂社会(インクルーシブ社会)の実現
    日本社会の基本的な価値観を共有
  3. ライフコース全体を見据えた政策形成

これは、外国人を「一時的な人手不足対策」としてではなく
日本社会の担い手として長期的に活躍してもらう存在として捉えるべきだ、
という強いメッセージといえるでしょう。

制度横断で進める「社会統合」と受入れ環境整備

提言では、個別制度の見直しにとどまらず
社会統合を軸とした制度横断的な施策が打ち出されています。

特に注目されるのが以下の点です。

  • 外国人政策の基本法制定と、総理大臣を本部長とする推進体制の構築
  • 日本語教育を社会統合の中核施策と位置づけ、初等中等教育段階からの支援強化
  • 「やさしい日本語」や多言語化による生活情報提供の充実
  • 自治体施策におけるKPI設定(相談、生活オリエンテーション、不就学解消、社会保険料、防災等)とPDCA管理の徹底
  • 永住許可要件の見直し(日本語能力・社会理解の評価)

社労士の立場から見ると
これは企業任せにされがちだった外国人支援を、社会全体で支える方向への転換とも言えます。

在留資格別に見た制度見直しの方向性

提言では、各在留資格についても具体的な方向性が示されています。

  • 高度人材
    国際的に見て日本の魅力度は低位。
    高度人材ポイント制の見直しや、多様な家族形態への対応が必要。
  • 留学生
    国内就職率は38.1%と政府目標(60%)に未達。
    J-Find制度の対象拡大など、就職支援の柔軟化が求められる。
  • 特定技能
    制度の透明性確保とともに、分野間で差のある2号試験の公平性確保、業界全体の魅力向上が課題。
  • 育成就労制度
    本人意向による転籍を認めつつ、悪質事業者を排除し、優良な受入れ機関のみが残る制度設計が不可欠。
    特定技能への円滑な移行体制整備も重要。

いずれも、「人数を増やす」より「質を高める」方向性が明確です。

企業に求められる役割 ― 労務管理の質が問われる時代へ

提言は、企業に対し明確にこう求めています。
「企業は単なる雇い主ではなく、地域社会の構成員である」と。

具体的には

  • 外国人本人や家族への日本語学習支援
  • 日本人従業員への「やさしい日本語」教育
  • 報酬・休暇制度の透明化
  • 多言語対応の社内インフラ整備
  • ジョブディスクリプションやキャリアパスの明確化

これらはすべて、外国人労務管理の“高度化”を意味します。
今後は、「採用できるか」ではなく
「選ばれ、定着してもらえるか」が企業価値を左右する時代になるでしょう。

二つの数字が示す“本質的課題”

提言で示された二つの数字は、極めて示唆的です。

  • スキル人材の獲得が困難とする日本企業:77%
    これは国際的に見ると決して突出しておらず、
    ドイツは86%で、日本より高い国が14か国もあるといいます。
    世界的な人材獲得競争の厳しさを示しています。
  • 外国籍の子どもの高校中退率:8.5%(日本人の8倍)
    非正規雇用比率は12倍。教育格差が将来の格差を再生産している現実があります。

社労士として見逃せないのは
教育・日本語支援の遅れが、将来の労働市場と社会コストに直結するという点です。

社労士からの視点 ―「後追い対応」からの脱却を

これまでの外国人労務管理は
「問題が起きてから対応する」ケースが少なくありませんでした。

しかし今後は
制度理解・受入体制整備・教育支援・労務管理を一体で設計することが不可欠です。

外国人政策の転換期は、同時に
企業の人事・労務管理の転換期でもあります。

外国人雇用を“リスク”ではなく“戦略”として捉え直すことが
これからの企業経営に強く求められているといえるでしょう。

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