令和7年度 年末調整のポイントと実務対応~基礎控除・給与所得控除の改正、特定親族特別控除の新設~

令和7年12月以降に実施される年末調整では、
税制改正に伴い複数の重要な変更点があります。
給与支払者としての対応が求められるため、早めの準備が重要です。
2025年9月24日、国税庁は、「年末調整がよくわかるページ」を開設しました。
「令和7年度分年末調整のしかた」というパンフレットも公開されています。
なお、2025年9月16日から2026年1月30日まで
コールセンターが設置されることも公表しました。
🔹主な改正点
1. 基礎控除の見直し
所得に応じた段階的な控除額が導入されました。
例:合計所得金額が655万円以下の場合、控除額は最大63万円。 (令和7年・8年分)
※居住者に限り、加算措置あり。
2. 給与所得控除の最低保障額の引き上げ
従来の55万円から65万円へ引き上げ。
対象:給与収入が162万5,000円以下の方。
令和7年分以後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」
及び令和8年分以後の「源泉徴収税額表」が改正されました
3. 特定親族特別控除の新設
19歳以上23歳未満の親族(合計所得金額が58万円超123万円以下)に対して
最大63万円の控除が新設されました。
申告には「特定親族特別控除申告書」の提出が必要です。
令和8年1月以後に提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」及び
「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」に
「源泉控除対象親族」を記載することとしました。
4.扶養親族の所得要件の改正
「扶養親族、同一生計配偶者、ひとり親の生計を一にする子」の所得要件は、
48万円から58万円以下へ引上げられました。
「配偶者特別控除の対象となる配偶者」は、58万円超133万円以下へ
「勤労学生」は、85万円以下へと引き上げられました。
🔹実務上の留意事項
- 扶養控除等(異動)申告書の内容確認
改正により新たに対象となる親族がいないか確認を。 - 各種申告書の受理と記載内容の確認
基礎控除・配偶者控除・特定親族特別控除の申告書を正しく受理し、控除額の算定に反映。 - 源泉徴収簿・源泉徴収票の記載方法の変更
特定親族特別控除の記載欄が新設されているため、記載例を参考に対応。 - 住宅借入金等特別控除(調書方式)の導入
控除証明書の添付が不要となるケースあり。金融機関との連携が必要です。 - 通勤手当に係る非課税限度額の改正
マイカー通勤などに対する通勤手当の額の引き上げが勧告
年末調整での対応が必要となる場合あり、国税庁の最新情報をチェック
🔹実務担当者へのアドバイス
- 改正内容を踏まえた社内研修の実施
- 申告書の様式変更に注意し、従業員への周知を徹底
- 国税庁の「年末調整がよくわかるページ」で最新情報を確認
年末調整は、従業員の税負担を適正化する重要な業務です。
制度改正を正しく理解し、実務に落とし込むことで、企業としての信頼性向上にもつながります。
【参考資料:令和7年分 年末調整のしかた(国税庁)】 パンフレットPDF
国税庁「年末調整がよくわかるページ(令和7年分)」
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