働き方改革関連法への対応状況を調査/東商

東京商工会議所は、2025年12月、「働き方改革関連法」施行後5年の見直しに向けて
中小企業における時間外労働の上限規制への対応状況や課題を把握するための調査結果を公表しました。
残業時間制限の支障
月あたりの正社員の時間外労働(年間平均)について
45時間を超える企業は1割にも満ちません。
時間外労働の上限規制による事業運営への影響について
「支障が生じている」と回答した企業は20.5%にとどまりました。
一方、業種別にみると、宿泊・飲食業(55.6%)、運輸業(54.7%)、建設業(42.2%)では
半数前後が「支障が生じている」と回答しており
業種間で大きな差がみられます。
「支障が生じている」と回答した企業の約6割が
「月45時間を超える時間外労働が可能なのは年間6カ月まで」という点を
対応が困難な規制項目として挙げました。
特に運輸業、建設業では6割を超える結果となっています。
対応が困難な理由としては
「全社的な人手不足」(60.6%)が最も多く、次いで
「繁閑の差が激しい」「特定の技能人材が不足している」
といった回答が続きました。
例えば、貸切バスはオンシーズン・オフシーズンの仕事量の差が激しく
オンシーズンにたくさん仕事をしないと売上が立たないことがあげられます。
「働き方改革」は見直す時
働き方改革の取組みから受けた影響については
「好影響のほうが大きい」が約2割(19.8%)と
「悪影響のほうが大きい」(13.1%)を上回ります。
働き方改革の影響を受けた企業の声は以下の通りです。
- 現行の働き方改革(上限規制)のおかげで、強制的ではあるが
社員の健康や仕事以外の生活に資する面は大変に大きい - トラブルが発生した際に、支援メンバーの労働時間制約から、有事の際にサポートに回せないでいる。
現行の規制では現場の運用にそぐわない状況
今後の働き方改革の見直しについては
「上限を維持しつつ運用の見直しが必要」(44.5%)と
「上限規制の緩和が必要」(18.1%)を合わせると6割超に達しています。
運輸業では「年間720時間以内」(48.3%)
建設業では 「複数月の平均で80時間以内」(32.3%)の割合が他業種と比べて特に多いです。
「運用の見直し」、「上限規制の緩和」を必要とする理由としては
「繁閑差や業種特性への配慮」
「副業増加への懸念」
「本人意思に基づく多様な働き方への対応」などが挙げられました。
社労士の視点
今回の調査結果からは、制度自体への否定ではなく
現場実態に即した「運用面の調整」への要望が強いことが読み取れます。
特に、慢性的な人手不足に直面している運輸業・建設業などでは
労働時間管理の厳格化と事業継続の両立が大きな課題となっています。
現行制度のもとでも
- 業務の平準化
- 36協定の適切な設計
- 変形労働時間制や特例制度の検討
- 多様な働き方(副業・兼業)を見据えた労務管理
など、運用の工夫によってリスクを抑える余地はあります。
今後の法改正動向を注視しつつ、早めに自社の働き方を点検することが重要といえるでしょう。
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