定年後再雇用の給与格差「不合理」と判断!同一労働同一賃金で企業が注意すべきポイント

定年後再雇用の基本給格差を巡る訴訟で、名古屋高等裁判所は2026年2月26日、
正社員と嘱託社員の基本給格差について不合理な待遇差に当たるとの判断を示しました。
高齢者雇用が進む中、今回の判決は
企業の再雇用制度の賃金設計に影響する可能性がある判断として注目されています。
事件の概要
訴えを起こしたのは、名古屋自動車学校の元嘱託職員2人です。
原告は定年後に嘱託職員として再雇用されましたが
- 正社員時代の基本給
約16万~18万円から - 再雇用後の基本給
約7万~8万円
へと大幅に減額されました。
仕事内容は主任を退任した以外ほとんど変わらないにもかかわらず、
賃金が半分以下になったことについて、不合理な待遇差であるとして差額の支払いを求めました。
裁判所の判断~基本給は「職務給の性質」が大きい~
今回の判決では、正社員の基本給の性質が重要な判断ポイントとなりました。
裁判所は、正社員の基本給には
- 勤続給
- 職能給
などの要素があるとしながらも、
職務内容に応じた「職務給」の性質が大きいと認定しました。
そのため、
嘱託社員と同様の職務を行っている場合、基本給に大きな差があるのは不合理
と判断しました。
そして、再雇用後の基本給について
月9万5,000円~10万円を下回る部分は不合理な待遇差
と認定し、会社に差額の支払いを命じました。
同一労働同一賃金との関係
今回の訴訟ではパートタイム・有期雇用労働法(旧:労働契約法20条)に基づき、
待遇差の合理性が争われました。
この法律では、次のような要素を総合的に判断します。
- 職務内容
- 責任の程度
- 人材活用の仕組み
- 賃金の目的
企業が合理的な説明をできない場合、不合理な待遇差と判断されます。
再雇用制度でよくあるトラブル
多くの企業では、定年後再雇用時に
- 基本給を大幅に引き下げる
- 嘱託給与に変更する
といった制度を採用しています。
しかし、次のようなケースではトラブルになりやすいといえます。
- 定年前後で仕事内容がほとんど変わらない
- 管理職を外れただけで実務は同じ
- 賃金の減額理由が明確でない
- 就業規則の賃金制度が曖昧
再雇用賃金は「説明できる制度」に
高齢者雇用が進む中で、企業にとって再雇用制度の整備は重要な人事課題となっています。
特に次の点を確認しておくことが重要です。
✔ 再雇用後の仕事内容の整理
✔ 正社員との役割・責任の違いの明確化
✔ 賃金決定基準の明文化
✔ 就業規則・賃金規程の整備
定年後も働く人が増える時代だからこそ、
企業には納得感のある賃金制度が求められます。
再雇用制度の見直しは、トラブル防止だけでなく、
高齢者人材の活用や人材確保にもつながる重要な経営課題といえるでしょう。
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