女性の健康課題と職場の対応
経済産業省の試算によると、女性の健康課題による離職などが原因で発生する経済損失は
年間約3.4兆円にものぼるとされています。
女性が長く働き続け、キャリアを築く時代において、
職場が健康課題への理解と支援をどう進めていくかは、重要な経営課題のひとつです
連合総研は9月、報告書「女性労働者の職場における健康課題―女性が健康に働き続けるための環境整備に
関する調査研究委報告―」を発表しました。
この報告書をもとに、誰でも健康で働き続けるための環境整備について考えましょう。
女性の健康課題は「妊娠・出産」だけではない
妊娠・出産に関する法整備や育児・介護支援制度は整ってきましたが
女性の健康課題はそれだけではありません。
月経や更年期、メンタルヘルス、生活習慣病など
働くうえで影響を与える要因は多岐にわたります。
報告書によると、仕事に影響があるようなつらい生理の症状のとき
6割の方が「我慢して仕事をした」(60.6%)と回答しています。
次いで「病院に行ったり、薬を服用しながら仕事をした」(37.8%)が4割弱
「年次有給休暇・傷病休暇を取った」(14.9%)、「無給で休んだ・欠勤した」(12.9%)
「有給の生理休暇を取った」(9.4%)が1割前後で続いています。
これまで「我慢するもの」とされてきた月経や更年期の症状も
集中力や判断力の低下、モチベーションの低下を引き起こすことが分かっており、
職場での理解と支援が求められています。
職場に求められる支援体制の整備
まず大切なのは、相談できる体制を整えることです。
そのうえで、ラインケアを担う管理職に対して、以下のような教育・研修を行うと効果的です。
- 女性の健康課題への配慮は「業務上の対応」であり、セクハラではないこと
- 困難を感じた場合は、一人で抱え込まず、産業医や保健師、人事担当者と連携すること
- 偏見や思い込みではなく、正しい知識に基づいて対応すること
管理職が安心して支援の担い手となれる環境をつくることが
女性従業員の健康保持や定着率向上にもつながります。
生理の際に望まれる職場の対応
調査では、以下のような職場対応が望ましいとされています。
- 生理休暇を取りやすくする(28.6%)
- 体調に合わせて柔軟な働き方を選べるようにする(25.9%)
- 急な休みに対応できる要員体制を整える(22%)
- 生理休暇を有給にする(20.4%)
- 在宅勤務ができるようにする(18.4%)
無理を強いるよりも、柔軟な対応ができる職場のほうが
従業員の安心感や信頼感を高める結果につながります。
更年期障害の際に望まれる職場の対応
更年期に関しても、「体調に合わせた柔軟な働き方を選べる」が28.3%で最も多く
「急な休みに対応できる体制づくり」(21.7%)「更年期を理由とする休暇の整備」(21.2%)などが続きます。
特に中小企業や非正社員では、制度の整備や周知が不十分な場合があり
労働組合がある企業の方が対応が進んでいる傾向があります。
また、生理と更年期は連続する健康課題であるため
セットで検討することが望ましいとされています。
さらに、更年期の症状は男性にも生じることがあるため
男女を問わず、体調変化に関する理解と支援を進めることが重要です。
職場全体で理解を深めることが第一歩
女性の健康課題は、個人の問題ではなく職場全体で向き合うテーマです。
制度整備だけでなく、「話しやすい雰囲気づくり」「知識の共有」「管理職の理解」が欠かせません。
小さな見直しからでも構いません。
「お互いを思いやる職場づくり」が、結果として会社の信頼や生産性を高めることにつながります。
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