「過労死白書2025」が示す警鐘、増える“人間関係トラブル”と長時間労働、今こそ職場の見直しを

厚生労働省は、「2025年版 過労死等防止対策白書」を公表しました。
今年の白書では、精神障害に関する労災請求件数が
2010年度の3倍以上に増加しており、
特に「自殺以外」の事案が約3.5倍に増えています。
背景には、「パワハラ」「対人関係の悪化」など
職場環境に起因するトラブルが多く見られると指摘されています。
6割が「上司とのトラブル」
実際に、精神障害事案の決定件数を、要因となった出来事を類型別に見ると
「対人関係」が他に比べて非常に多く、特に令和5年度、6年度に大きく増加しています。
「対人関係」の詳細を見ると、「上司とのトラブル」が6割以上を占めており
令和6年度は前年度から354件増加しています。
過労死防止の重点的な取組みとして
① 長時間・過重労働の防止
② 職場環境の改善
が挙げられています。
人手不足業界で増加する「労災リスク」
白書によると、労災認定件数が特に多いのは
医療、自動車運転従事者、建設業、外食産業などで
いずれも人手不足が深刻で、勤務時間が長くなりがちな業種です。
「1か月に80時間以上の時間外労働」は自動車運転従事者や外食産業が
「2週間以上の連続勤務」は建設業が高い状況です。
外食業を例にすると、以下のような状況が考えられます。
- シフト制で労働時間が見えにくい
- 店長やリーダーが若く、指導とハラスメントの線引きに悩む
- 繁忙期の残業や休日出勤が常態化している
といった問題が重なり、社員のメンタル不調や離職につながりやすい傾向があります。
精神障害事案の推移は、IT産業以外は増加傾向です。
特に医療は、「令和2年度~令和4年度」は
「平成23年度~平成25年度」と比べ約3倍となっており
自動車運転従事者も大幅に増加し、建設業は高止まりしています。
中小企業が取り組める3つのステップ
① 労働時間を「見える化」する
打刻データや勤怠管理を整理し、店長任せにしない集計体制を整えることが第一歩です。
また、繁忙期に合わせた36協定の見直しや、変形労働時間制の適切な運用も重要です。
② ハラスメントを防ぐ“風通しの良い職場”へ
厚労省が指摘する「パワハラ」「対人トラブル」を防ぐには
管理職研修や定期的な面談制度の導入が効果的です。
社員が不安や不満を早めに相談できるよう、社内相談窓口を整えることも有効です。
③ メンタル不調への初期対応をマニュアル化する
休職・復職の流れ、医師や産業医との連携、社労士への相談ルートを明確にしておくことで
「誰が、どのように動くか」を共有できます。
いざという時に慌てず対応できる体制が、従業員と企業双方を守ります。
取り組み事例
「過労死白書」では、ICTの活用による労働効率化と
医療サービス向上の取組事例が紹介されています。
社会医療法人石川記念会HITO病院(愛媛県四国中央市)では
チャットを導入したことで
急ぎ対応が必要な連絡には医師がすき間時間で返事をできるようになり
全体の作業効率が上がったそうです。
社労士ができるサポート
労務サポートでは、
- 労働時間管理・36協定の見直し支援
- ハラスメント防止研修・相談体制づくりの支援
- メンタル不調者対応マニュアルの策定
- 業種ごとの労務リスク点検
などを通じて、企業の「安全・安心な職場づくり」をお手伝いしています。
外食業や医療・運送業など、現場が忙しくても実行できる方法をご提案いたします。
「うちも気をつけなければ」と感じたときが、見直しのチャンスです。
お気軽にご相談ください。
参考
厚生労働省「2025年版 過労死等防止対策白書」
概要版(PDF)
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