令和7年版「労働経済の分析」:中小企業が押さえるべき最新データと実務ポイント

厚生労働省が発表した「令和7年版 労働経済の分析」では
2024年の雇用・賃金動向とともに、持続可能な経済成長に向けた課題が明らかになりました。
中小企業の経営者にとって、今後の人材戦略や業務改善に直結する重要なデータが含まれています。
持続的な経済成長への課題
雇用情勢:改善傾向も人材確保は依然課題
- 完全失業率:2.5%(前年とほぼ横ばい)
- 有効求人倍率:1.25倍(正社員は1.01倍)
- 労働力人口:6,957万人(過去最高)
- 労働力率:63.3%
- 雇用者数:6,123万人(前年差47万人増、過去最高)
👉 採用難が続く中、求人票の魅力化や柔軟な勤務体系の導入が求められます。
賃金動向:実質賃金はプラスに転じる
- 現金給与総額:4年連続増加
- 実質賃金:一般労働者・パートともにマイナスを脱却
👉 賃金水準の見直しだけでなく、福利厚生や職場環境の改善が定着率向上に直結します。
生産性向上:ソフトウェア投資が鍵
- 日本の無形資産投資(AI・ソフトウェア等)の対GDP比:米英独に比べて低水準
- 非製造業のソフトウェア投資:伸び悩み傾向
👉 勤怠・給与のクラウド化、AIによる業務効率化など、無形資産への投資が急務です。
社会インフラ職の人材確保:賃金格差が課題
- 社会インフラ関連職の就業者:全体の約35%
非社会インフラ関連職は322万人増加した一方、社会インフラ関連職の増加は58万人にとどまっている - 月額賃金:非社会インフラ職より約5万円低い
- 年間所得:104.5万円の差
👉 キャリアラダー(段階的昇給制度)の導入が、長期雇用の安定につながります。
働き方意識の変化:余暇重視が主流に
- 「余暇優先型」:36%
- 「余暇・仕事両立型」:38%
- 「仕事優先型」:23%(1973年は約44%)
👉 若年層ほど仕事内容より賃金を重視し、自己成長への関心が高いなどの傾向がみられます。
また、「働きやすい」と感じているグループの方が継続就業希望が高い傾向にあり
職場環境の改善は社員の継続就業につながります。
【まとめ】
持続可能な経済成長には、労働生産性の向上の推進が重要です。
国際的にみても高齢化率が高まるにつれて就業者の割合が高まる傾向のある
医療・福祉業等をはじめ、AI等での事務仕事の効率化が必要です。
人材確保・生産性向上・職場環境整備は三位一体です。
中小企業こそ、制度と意識のアップデートが競争力の源泉になります。