【2027年~】厚生年金「標準報酬月額」の上限が段階的に引き上げ
2025年6月12日、年金制度の改正法案が国会で成立しました。
今回の改正は、少子高齢化や多様な働き方に対応するため
年金制度を見直す大きな一歩です。
今回は、標準報酬月額の上限に焦点をあてて解説します。
2027年より、厚生年金保険の「標準報酬月額」の上限額が
段階的に65万円から75万円へと引き上げられることが決定しました。
会社の経営者、役員などの高所得者層の保険料や将来の年金額に影響が出るとともに
企業の人事・労務管理にも対応が求められます。
標準報酬月額の上限

報酬について、標準報酬月額の上限(現在は65万円)が設けられており
上限を超えても保険料はそれ以上増えないこととなっています。
65万円は、全被保険者の標準報酬月額の平均の約2倍の額です。
📌 改正の概要とスケジュール

改正のスケジュールは以下の通りです。
- 改正後のスケジュール:
- 2027年9月:68万円へ引き上げ
- 2028年9月:71万円へ引き上げ
- 2029年9月:75万円へ引き上げ
政府の試算では、賃金などが月75万円以上の方の場合、保険料は月9,100円上昇し
その状態が10年続くと、月約5,100円増額した年金を一生涯受け取れます。
💡 企業が今から取り組むべき対応
1. 対象者の把握とコストシミュレーション
月収65万円超の従業員を把握し、保険料の増加分や年金給付の見通しを算出しましょう。
役員報酬にも影響があるため、管理職や専門職の処遇設計を再検討するきっかけにもなります。
2. 報酬体系・福利厚生制度の見直し
報酬の一部を賞与に組み替える、成果型報酬制度の導入など
保険料と給付のバランスを考慮した制度設計を検討しましょう。
3. 社員への丁寧な情報提供
特に影響を受ける高所得層の社員には
「保険料が上がる分、将来の年金も増える」という点を明確に伝えることが大切です。
制度の趣旨やメリットを共有することで、納得感のある対応につながります。
4. 社会保険手続きの準備
定時決定や随時改定など、実務フローの再確認が必要です。
新上限への対応に向けた、手続き上のスケジュール管理もお任せください。
📝 社労士としてサポートできること
- 対象者抽出や影響額の試算サポート
- 報酬制度の見直しに関するアドバイス
- 従業員説明資料の作成支援
- 社会保険手続きの代行・チェック体制の強化
上限引き上げは「企業にとっての新たな人材投資のチャンス」とも言えます。
この機会に、貴社の報酬制度・福利厚生を見直してみませんか?
厚生労働省HP「厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて」
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