「子育てペナルティ」を企業人事データから分析

「子育てペナルティ(child penalty)」とは
子どもを持つことをきっかけに
特に女性の収入・昇進・キャリアが大きく低下し、その影響が長期間続く現象を指します。
世界中で確認されている概念で、日本でも近年強く注目されています。
さて、財務省の広報誌「ファイナンス」(2025年9月号)において
「昇進システムと男女間賃金格差」をテーマとした講演内容が掲載されました。
本研究では、日本の大手製造業の実際の人事データを用いて
「子育てペナルティ」について、具体的な数値と要因分析が行われています。
分析で示された主なポイント
① 第一子誕生後、男女の賃金格差が平均55%拡大
掲載された分析によれば
子どもが生まれてから10年間の平均で、男女賃金格差が55%広がる
という結果が確認されました。
これは、単なる休業期間や時短勤務だけでは説明できず
昇進スピードや職務配置の違いが大きく影響しているとされています。
② キャリアの“分岐点”は第一子誕生時
第一子誕生以降、出産直後は長時間働けないことがダイレクトに給与に影響するのですが
以下の評価や昇進の遅れを通じて、長期にわたり影響を及ぼす構造が明らかになったといえます。
- 管理職への昇進確率
- 配置転換の機会
- 担当業務の難易度
などに男女差が広がり、その後10年以上続く傾向が見られます。
③ 日本企業の昇進制度がペナルティを強める可能性
日本特有の以下の労働環境が
子育てとキャリアの両立を難しくし
結果として女性の賃金低下を固定化させる背景があると指摘されています。
- 長期雇用
- 年功的な昇進
- 長時間労働前提の働き方
人事・経営者にとって重要な示唆
今回の分析は、単なる「男女格差の説明」ではなく
企業の昇進制度・人事運用が“将来の人材確保”に直結する課題である
ことを示しています。
次のような課題を抱える企業は、制度見直しの好機と言えます。
- 育児中の社員の昇進が実質的に遅れがち
- 時短勤務者に責任ある業務を任せられていない
- 「長時間働ける人」が評価されやすい
- 女性管理職比率がほとんど増えていない
- キャリア形成の選択肢が少ない
企業が取れる実務的アクション
労務サポートとしては、次のような改善策を推奨しています。
① 昇進・評価制度の見直し
- 時間ではなく成果基準を明確化
- 育児中でも昇進対象となる評価基準の設定
- キャリアの“中断”を過大評価しない運用
② 育児と両立できる職務設計
- 時短勤務でも責任ある業務を担当できる職務構造
- フルタイム前提の評価項目の是正
- 在宅勤務や柔軟なシフトの活用
③ 長期的なキャリア形成支援
- 育児休業からの復帰支援プログラム
- メンター制度やキャリア面談の導入
- 職務経験の機会損失を減らす配置転換の工夫
まとめ
子育て支援や男女平等の推進は
人材確保・離職防止・女性活躍の観点でも非常に重要な経営テーマです。
当事務所では、次のような支援を行っています。
- 昇進制度・評価制度の見直しサポート
- 育児休業からの復帰支援の仕組みづくり
- 時短・在宅勤務制度の整備
- 女性活躍推進法対応、行動計画策定
- 人事制度改定に向けた実務アドバイス
制度づくりから運用まで、御社の状況に合わせてサポートいたします。
お気軽にご相談ください。
社労士が解決いたします
労務サポートでは 社会保険の手続きだけでなく、
給与計算、人事制度・従業規則、助成金など幅広い相談を受付ております。
開業して15年以上の経験豊富な社労士が応じますので、安心です。
ぜひお問合せください
給与計算、人事制度・従業規則、助成金など幅広い相談を受付ております。
開業して15年以上の経験豊富な社労士が応じますので、安心です。
ぜひお問合せください


