「新しい資本主義 実行計画2025年改訂版」×「骨太の方針」―人事労務の最新ポイントを解説
2025年6月、政府は「新しい資本主義 実行計画 2025年改訂版」
および「骨太の方針2025」を決定しました。
今回の改訂では、企業の人事・労務にも関わる重要な方向性が数多く示されています。
当事務所では、この内容をいち早く解説したYouTube動画を公開しましたが
今回はその要点をご紹介いたします。
◆1.賃上げのノルム(社会通念)の定着へ
政府は、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」への移行を目指しています。
そのために、現在の賃上げの勢いを中小企業や地方にも波及させ
好循環を加速させることが課題とされています。
具体的には、2029年度までの5年間で
実質賃金が年1%程度上昇する社会通念(ノルム)を定着させる方針です。
また、最低賃金についても、2020年代に全国平均1,500円を目指し
価格転嫁や生産性向上とセットで中小企業の賃上げを支援していきます。
◆2.アドバンスト・エッセンシャルワーカーの育成と処遇改善
介護・医療・物流・保育などの現場で社会機能を支える
エッセンシャルワーカーについては
今後さらに人手不足が深刻化すると見られています。
政府はこの分野で、デジタル技術を活用した生産性向上
スキルに応じた適正な処遇の実現を推進します。
特に、既存の公的資格でカバーできない分野においては
民間検定等を活用したスキルの「見える化(階層化・標準化)」を進め
処遇改善に結びつけていきます。
◆3.リ・スキリングと労働市場の構造改革
生成AIなどの技術革新により
今後は一部の事務職などで労働需要が減少する可能性もあります。
そのため、技術トレンドを踏まえたリ・スキリング(学び直し)支援が強化されます。
具体的には、以下のとおりの支援を行います。
- AI・デジタル分野の講座を教育訓練給付金の対象に拡大
- 非正規労働者でもオンラインで訓練を受けられる仕組みの整備
- 中高年層のセカンドキャリア支援やキャリアプランニングの強化
また、企業側への施策として
「ジョブ型人事指針」の周知と
「人的資本可視化指針」の見直しが進められています。
年功序列から脱却して「仕事の中身」で評価する仕組み。
それにあわせて、企業の「人材育成・評価」の中身も見える化していこうとしています。
◆4.多様で柔軟な働き方の実現
労働者の就労機会を増やすため
成長産業への労働移動の円滑化や、以下のような柔軟な働き方が促進されます。
- 短時間正社員制度の活用
- 勤務間インターバル制度の導入
- 選択的週休3日制の普及
- 育児・介護との両立支援、就労困難者への支援
さらに、「年収130万円の壁」を意識せず働けるよう
2025年度中に新たなキャリアアップ助成金が創設され
労働時間の延長や賃上げを行う企業への支援が開始されます。
そして、働き方改革法施行から5年が経過したことを受け
労働基準法制全体の総点検と見直しも行われる予定です。
◆おわりに
今回の実行計画と骨太方針には
企業の成長・人材確保・処遇改善に関するヒントが多数含まれています。
今後の制度対応や社内ルールの整備について不安のある企業様は
どうぞ、お気軽にご相談ください。
新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議
経済財政運営と改革の基本方針2025
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