経団連が提言する「人権尊重経営」とは? 企業に求められる新たな課題

日本経済団体連合会(経団連)が2025年9月
「人権尊重経営”の推進」と題した提言を公表しました。
企業が「人権尊重経営」に取り組むときの基本的な考え方と今後の対応として
年内に改定予定の『「ビジネスと人権」に関する行動』に盛り込まれることを
期待して、まとめたものです。
国際社会では、サプライチェーン全体での人権配慮や
人権デューディリジェンス(DD)の法制化が急速に進んでいます。
特に欧州の動向は無視できず
日本企業も国際的な潮流に乗り遅れないための対応が求められています。
今回の経団連の提言は、日本企業が人権問題にどう向き合うべきかを具体的に示したものです。
経団連が示す「3つの柱」
経団連の提言は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき
以下の3つの柱を掲げています。
- 国家による人権保護義務:政府が法制度を整備し、人権を保護する責任。
- 企業の人権尊重責任:企業が事業活動において、人権侵害を防止・是正する責任。
- 被害が生じた場合の救済確保:人権侵害が発生した際に、被害者救済の仕組みを設ける責任。
企業が取り組むべき具体策
企業による自主的な取り組みは着実に広がっているものの
万能の解決策は存在しないので、事例ごとに工夫を凝らし実質的な問題解決に取り組む必要があります。
具体的には、以下のような行動が求められます。
- 人権方針の策定:自社の事業における人権尊重の基本原則を明文化し、社内外に周知すること。
- リスクアセスメントの実施:自社だけでなく、サプライチェーン全体における人権侵害のリスクを特定し、評価すること。
- 苦情処理・救済の仕組み整備:従業員や取引先が、人権侵害について安心して訴えることができる窓口を設置すること。
- 情報開示:人権への取り組み状況や、リスクへの対応策を積極的に開示し、透明性を高めること。
政府の支援も必要
企業は人権尊重の取り組みを進めるほど
サプライチェーンの可視化や正確・迅速な情報収集の難しさ
自社・企業セクターだけでは解決できない複雑な問題の存在を痛感しています。
そこで、政府に対しては企業の実態や要望を十分に聞き取り
自主的な取り組みを支援する政策の充実を期待しています。
まとめ
今回の経団連の提言は、企業が人権尊重を経営の基盤に据えることの重要性を再認識させるものです。
今後、政府による制度整備も進むことが予想されるため
各企業が主体的に準備を進めることが不可欠です。
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「人権尊重経営」の推進-「ビジネスと人権」に関する経団連の考え方と政府への期待