「技能実習制度」約7割が法律違反・・・
2024年6月に「育成就労制度」の創設が決定されました。
育成就労制度は、「技能実習」に代わる在留資格として
特定技能1号水準の人財の確保のため導入されます。
詳細はこちらをご覧ください。
技能実習から「育成就労制度」へ
労働時間の違反事例
令和5年に全国の労働基準監督署等において
労働基準関係法令違反が疑われる、外国人技能実習生の実習実施者10,378事業場に対して
監督指導を実施したところ、その73.3%が法律違反をしていました。
違反事項
主な違反事項は、以下の通りです。
①使用する機械等の安全基準(23.6%)
②割増賃金の支払(16.5%)
③健康診断結果についての医師等からの意見聴取(16.2%)
④労働時間(14.7%)
⑤年次有給休暇(12.6%)の順に多い状況です。
外国人技能実習機構からの通報
鉄鋼業の会社について、外国人技能実習機構から
労働基準監督署に通報があったため、立入調査を実施したところ、
36協定で定めた延長時間(1か月当たり80時間)を超える違法な時間外労働は
技能実習生で1か月当たり最大90時間30分
日本人で1か月当たり最大114時間を行わせていたことが認められました。
会社の対応
業務内容を精査(アウトソーシングが可能な業務か精査等)することなどにより、全体の業務量を削減しました。
申告の状況
実習生から申告が求められた総件数は141件。前年の145件より4件減少しました。
主な申告事項は次のとおりです。
①賃金、割増賃金の不払い(114件)
②解雇手続きの不備(35件)
③最低賃金額未満(6件)
事例
- 建設会社で働く技能実習生から、出張先のホテルの備品を壊し
その賠償を会社が立て替えたが、賠償額が2か月分の賃金相当額であるとして
当該期間の賃金について支払われなかったと労働基準監督署に申告がありました。 - 立入調査を行った結果、備品を壊した事実関係については双方で争いがあったものの
2か月分の賃金を支払っていなかった事実は認められました。
送検の状況
令和5年に全国の労働基準監督署等において
技能実習生に関する重大・悪質な法令違反が認められた事案として送検した件数は、27件でした。
主な違反条文は
①安全衛生<安衛法20条>7件
①労働時間<労基法32条>6件
②報告など<安衛法100条>6件
③最低賃金の効力<最賃法4条>2件
④割増賃金の支払い<労基法37条>2件
事例
土木工事現場において、技能実習生に土砂の運搬作業を行わせるに当たり
掘削作業中のショベルカーと接触するおそれがある箇所に立ち入らせた結果
実習生がショベルカーにひかれて片足切断の大怪我を負う労働災害が発生したことについて
会社が、運転中のショベルカーとの接触予防措置を講じなかったことで送検されました。
相互通報
技能実習生の労働条件の確保を図るため、労働基準監督署等では
外国人技能実習機構等との間で、相互に通報し、合同監督・調査を実施しています。
令和5年に労働基準監督署等から外国人技能実習機構へ通報した件数は519件
外国人技能実習機構から労働基準監督署等へ通報された件数は2,173件です。
前年との比較では、前者は10件増加
後者は386件の減少となりました。
なお、監督指導等の結果を相互に通報する以外にも
強制労働等、技能実習生の人権侵害が疑われる事案については
外国人技能実習機構との合同監督・調査を行うこととしており
42の実習実施者に対して実施しました。
詳細はこちらをご覧ください。
技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況