「訪問介護」外国人受け入れ解禁!【2025年4月~】
「2025年問題」とは、国民の5人に1人が75歳以上となり
医療・介護の需要が急増することで生まれる社会問題のことです。
人材確保のため、2025年4月より、訪問介護などの訪問系サービスにおいて
外国人材の受け入れが可能となりました。
これまで制限されていた訪問介護業務について
一定の条件を満たす外国人が従事できるようになったことは
深刻な人材不足に悩む介護業界にとって大きな転機です。
本記事では、受け入れの2つの要件、事業所が守るべき5つの遵守事項について書いています。
◆ 2つの要件:外国人が訪問介護に従事するために必要な条件
訪問介護に外国人が従事するには
次の2つの要件を満たす必要があります。
① 研修・実務経験を有していること
外国人本人が、以下の条件を満たしている必要があります。
- 介護職員初任者研修課程などを修了していること
- 介護事業所における実務経験が1年以上あること
② 利用者・家族への事前説明と署名取得
介護事業所は、外国人が訪問介護業務に従事する前に
- 利用者およびその家族に対して書面により事前説明を行うこと
- 内容を理解してもらい、署名を取得すること
が求められます。
◆ 5つの遵守事項:介護事業所が守るべき受け入れ体制
外国人が安全かつ円滑に業務を行えるように
介護事業所は以下の5つの遵守事項を実施する必要があります。
① 訪問介護の基本に関する研修の実施
外国人が日本の介護現場に適応できるように
次の内容を含む研修を行います。
- 訪問介護の基本事項
- 利用者の状態や生活習慣への配慮
- 生活支援技術
- 傾聴・受容・共感などのコミュニケーションスキル
- 日本の生活様式や緊急時の対応方法を含む実務想定訓練
② サービス提供責任者等によるOJTの実施
訪問介護は一人での業務が基本のため、外国人が独り立ちできるよう
一定期間、サービス提供責任者や先輩職員が同行し、OJTを実施します。
③ 丁寧な説明とキャリアアップ計画の策定
業務内容や注意事項について丁寧な説明を行い
本人の意向を確認し、十分にコミュニケーションを取ることが重要です。
- キャリアパス(将来の目標像)を明確化した上で
- 外国人と共同でキャリアアップ計画を策定し共有することが求められます。
- JICWELSに提出し、支援の継続性・透明性を確保します。
④ ハラスメント対策の実施
外国人が安心して働ける職場環境づくりのために
ハラスメントを未然に防ぐ対応マニュアルを作成・共有しましょう。
対応マニュアルには以下の内容を含める必要があります。
- 相談窓口の設置と周知
- 管理者の役割明確化
- ハラスメント発生時の対応ルールの整備
- 利用者や家族への説明と理解促進
⑤ ICT活用などによる環境整備
訪問介護は単独業務であるため、以下の準備を行い
「利用者が急に倒れてしまった」などといった不測の事態に備えましょう。
- コミュニケーションアプリなどICTの導入
- 緊急時の対応フローマニュアルの整備
◆ まとめ
2025年4月の制度改正により、外国人が訪問介護に従事できる道が開かれました。
しかしこれは単なる「人手確保」ではなく
信頼される介護サービスを、文化や言語の壁を越えて一緒に築くための制度です。
介護事業所には、高い責任と丁寧な受け入れ体制が求められます。
しっかりと要件・遵守事項を把握し、制度を活かした職場づくりを進めていきましょう。
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