デジタル化で“現場の不安”を減らすには

AI

エン・ジャパンの最新調査によると、職場のデジタル化が進んでいると感じる人は約66%。
一方で、4人に1人は「デジタル化に不安を感じている」と回答しています。

中小企業では、「業務を効率化したい」「AIを導入して改善したい」と思いながらも
「現場がついてこられるか不安」「派遣・パートへの教育が難しい」といった悩みが多く聞かれます。

今回は、現場が混乱せずにデジタル化を進めるためのステップを、社労士の視点からご紹介します。


デジタル化は「現場を楽にする」

「あなたの職場ではデジタル化が進んでいると感じますか?」と伺うと
66%が「感じる」(感じる:38%、どちらかといえば感じる:28%)と回答しました。

デジタル化が進んでいると「感じる」「どちらかといえば感じる」と回答した方に
どのようなデジタル化が進んでいるかを伺うと、トップは「ペーパーレス化」(81%)でした。

続けて、デジタル化のメリットについて質問すると
上位は「データの保管・管理が楽になる」(64%)、「情報共有がしやすくなる」(61%)でした。

AI活用「文章作成」最多

「派遣先の職場では、AIが導入されていますか?」と伺うと
23%が「導入されている」と回答しました。

続けて、業務でのAI活用シーンを伺うと、最多は「文章作成・要約」(62%)でした。
次いで「情報収集」(53%)、「データ分析」(48%)が続きました。

今後のAIの業務活用についてどのように感じるか質問すると
94%とほとんどの方が「活用したい」と回答しました。

デジタル化の目的は、最新技術を導入することではなく、現場の負担を減らすことです。
焦らず、小さな改善から取り組むことで、社員の納得と安心を得ながら進めることができます。

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デジタル化を進める3ステップ

ステップ①:現場の「困りごと」を聞くことから始める

最初に行うべきは、現場の声を拾うことです。
「紙の記録が多くて面倒」「入力ミスが起きやすい」「情報共有に時間がかかる」など
日常の小さな不便を洗い出すことで、デジタル化の方向性が見えてきます。

この段階で、社員や派遣スタッフに意見を求めることが大切です。
「改善に参加できた」という実感が、協力意識を生み出します。

ステップ②:いきなりシステム導入しない

「AI」「クラウド」などの言葉に惹かれて、一気に導入してしまうと
現場がついてこられず混乱することもあります。

おすすめは、既存業務の一部を少しずつデジタル化すること。
たとえば、勤怠管理をExcelからクラウドに切り替えるだけでも
業務の透明性が上がり、社員の負担が軽減します。

ステップ③:教育・サポート体制を整える

職場でデジタル化が進むことに対し、4人に1人(26%)が「不安を感じる」と回答しました。
今後身に付けたいスキルや知識は「AIツールの活用」64%、「データ分析」41%が上位でした。

デジタル化を定着させるには、「学びながら慣れる」環境づくりが欠かせません。
派遣社員やパートスタッフ向けに、誰でもわかるマニュアルや動画説明を用意しましょう。

また、トライアル期間を設けて「うまくいかない部分」「困った点」を共有する場をつくることで
不安が軽減し、改善提案も出やすくなります。

社労士がサポートできること

労務サポートでは、次のような形で企業のデジタル化をお手伝いしています。

  • 勤怠管理や労務手続きのデジタル化支援(電子申請・クラウド勤怠・電子雇用契約など)
  • 現場が混乱しない導入ステップ設計のアドバイス(派遣・パートを含めた周知方法の整備)
  • 業務効率化と同時に法令遵守を実現する体制づくり

「DX」という言葉に身構える必要はありません。
最初の一歩は“現場を少し楽にする仕組みづくり”です。
社員の不安を減らしながら、デジタル化を進めていきましょう。

エン・ジャパン「職場のデジタル化」調査(2025)」

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