上がる労務費などの価格転嫁は?
2023年は賃上げの年ともいえますが
物価上昇のスピードに賃上げが追い付いていません。
11月29日、政府は「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表しました。
約7割を占める中小企業が、賃上げのための資金を確保できるようにすることがねらいです。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/nov/231129_03_romuhitenka.pdf
価格に反映できているのは3割
中小企業庁は11月に、「価格交渉の促進月間のフォローアップ調査」結果を向上しました。
価格転嫁率(コスト上昇分を価格転嫁できた割合)は、平均45.7%で、前回の調査(47.6%)から減少しました。
コスト要素は主に3つです。
- 原材料費:45.4%
- エネルギー費が33.6%
- 労務費:36.7%
業種別でみると、最上位の業種は
- 化学:47%
- 情報サービス・ソフトウェア:46.5%
- 建設業:41.2%
また、最下位業種は以下の通りです。
- トラック運送:19.1%
- 製薬:27.8%
- 自動車・自動車部品:28.6%
価格交渉については、
- 「発注側から交渉の申し入れがあり、交渉が行われた」は14.4%(3月は7.7%)
- 「価格交渉を希望したが、交渉が行われなかった」が7.8%で、10ポイント程度減少(3月時点では17.1%)
会社が意識すべきこと
発注する会社に対しては以下の注意点が追加されました。
- 転嫁受け入れの方針決定のとき、経営者(経営トップ)が関与すること
- 定期的に協議の場を設けること
- 協議せずに長期間、価格を据え置くことは「独占禁止法の優越的地位の濫用になるおそれがある」
- 価格転嫁を要求したことを理由に、不利益に取り扱わないこと
受注する側との共通点として
交渉記録の作成と保管をあげ
公平な競争を阻害するおそれがあるときは、厳正に対処するとしています。
連合は指針を「賃上げ実現に向けたあしがかりになる」と評価し、経団連は指針をホームぺージで公開しています。
参考ページ https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/nov/231129_roumuhitenka.html