新しい資本主義を論議。学び直しが原則となります

名古屋の社会保険労務士事務所、労務サポートです。

政府は、新しい資本主義実現会議を開催し、「三位一体の労働市場改革の指針」をまとめました。

以下の改革を三位一体で進めることを決定しました。

  •  リスキリングによる能力向上支援
  •  個々の企業の実態に応じた職務給の導入
  •  成長分野への労働移動の円滑化

中でも注目なのはリスキリングによる能力向上の支援だと思います。
成長分野への労働移動の円滑化にむけて雇用保険や雇用調整助成金の内容が見直されるので、確認しておきましょう。

リスキングによる能力向上支援

社会人が勉強して仕事に関係する資格に挑戦する動画がYoutubeに投稿されています。
このように学び直しで能力を向上させていくことが必須な時代になりつつあります。
政府は以下のように能力向上支援をしていく方針です。

(1)個人への直接支援の拡充

・国の在職者への学び直し支援策は、企業経由が中心となっており、
 個人経由が 25%(237 億円(教育訓練給付)となっています。

 これについては、働く個人が主体的に選択可能となるよう
 5年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるようにし
 在職者のリスキリングの受講者の割合を高めていきます。

(2)日本企業の人への投資の強化の必要性

・日本企業の人への投資は、2010年から2014年に対GDP比で0.1%にとどまり、
 米国(2.08%)やフランス(1.78%)などの先進諸国に比べても低い水準かつ、近年、更に低下傾向です。

 今後、人口減少により労働供給制約が強まる中
 人への投資を行わない企業は、ますます優秀な人材を獲得できなくなり
 それは企業価値や競争力の弱体化に直結することを認識しなければいけません。

・他方で、人への投資を充実した企業においては
 離職率の上昇は見られず、むしろ、自分を育てる機会を得られるとして
 優秀な人材を惹きつけることが可能となっています。

・このため、企業自身が、働く個人へのリスキリング支援強化を図る必要があることを肝に銘じましょう。

(3)「人への投資」施策パッケージのフォローアップと施策見直し

・パッケージの各支援策が労働者にとってより利用しやすいものとなるよう
  毎年度パッケージの実施状況をフォローアップし、その結果を翌年度の予算内容へと反映します。

(4)雇用調整助成金の見直し

・在職者によるリスキリングを強化するため、
 休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくするよう、助成率等の見直しを行います。

 教育訓練・休業による雇用調整の場合、給付期間は1年間で100日まで、3年間で150日までですが
 例えば30日を超えるような雇用調整となる場合には、教育訓練を求めることを原則とし、
 例外的にその日以降に休業によって雇用調整を行う場合は助成率を引き下げるなどの見直しを検討します。

成長分野への労働移動の円滑化

「就職したら3年はいるべき」という言葉がありますが
政府は以下のように成長分野への労働移動の円滑化を進める方針です。

  • 失業給付制度の見直し

・自己都合で離職する場合は、求職申込後2か月ないし3か月は失業給付を受給できない
 と、会社都合で離職する場合と異なる要件となっています。

・失業給付の申請時点から遡って
 例えば1年以内にリスキリングに取り組んでいた場合などについて
 会社都合の場合と同じ扱いとするなど
 自己都合の場合の要件を緩和する方向で具体的設計を行います。

  • 自己都合退職に対する障壁の除去

・民間企業の例でも、一部の企業の
 自己都合退職の場合の退職金の減額、勤続年数・年齢 が一定基準以下であれば退職金を不支給、
 といった労働慣行の見直しが必要になりえます。

・その背景の一つに、厚生労働省が定める「モデル就業規則」において
 退職金の勤続年数 による制限、
 自己都合退職者に対する会社都合退職者と異なる取り扱いが例示されている
 ことが影響しているとの指摘があることから、このモデル就業規則を改正します。

  • 副業・兼業の奨励

・成長分野への円滑な労働移動を図るための端緒としても、副業・兼業を奨励します。

・このため、 副業・兼業人材を受け入れる企業又は送り出す企業への支援など、
 労働者個人が新たなキャリアに安心して移行できるようにするためのトライアル環境を整備します。

参考ページ▼三位一体の労働市場改革の指針 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai18/shiryou1.pdf

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