職場の熱中症による死傷者が過去最多に

厚生労働省は、令和6年の職場における
熱中症による死傷災害の発生状況を発表しました。
それによると、死傷者数(死亡および4日以上の休業を要した災害)は1257人と
統計開始以来、最多水準で推移しており、極めて深刻な状況です。
死亡者数も31人にのぼり、3年連続で30人を超える高止まりが続いています。
建設、製造業は特に注意
特に被害が多かったのは以下の業種です。
- 建設業:228人
- 製造業:235人
- 運送業:186人
加えて、令和2年以降の5年間で
熱中症による死傷者は建設業と製造業の2業種で多く発生しており
いずれの年も2業種の死傷者数が全体の約4割を占める結果となりました。
名古屋地域の中小企業こそ、対策の徹底を
製造業や建設業、物流関連企業が集積する名古屋市および周辺地域にとって
決して対岸の火事ではありません。
猛暑日の増加など、近年の気候変動を鑑みれば
これまでの対策では不十分となる可能性も否定できません。
自社の作業環境に潜むリスクを改めて洗い出すことが急務です。
今日から始めるべき熱中症対策
厚生労働省も「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を展開し
対策の徹底を呼びかけています。
職場での熱中症対策は、以下が有効です。
【管理体制の構築】
- WBGT値の把握と活用:
現場のWBGT値(暑さ指数)を計測し、作業中止や休憩時間の延長基準を明確に定める。- WBGT値(暑さ指数):気温だけでなく、湿度、日射・輻射熱を取り入れた
より実態に即した熱中症予防のための指標です。
- WBGT値(暑さ指数):気温だけでなく、湿度、日射・輻射熱を取り入れた
- 作業計画の見直し:
気温が高くなる時間帯を避けた作業スケジュールの調整。 - 緊急時対応の周知徹底:
熱中症の初期症状(めまい、頭痛、吐き気など)の見分け方や、救急時の応急処置について
全従業員が理解できるよう教育・訓練を実施する。
【職場環境の改善】
- 設備の導入・整備:
スポットクーラーや大型扇風機、ミスト発生装置などの設置。休憩場所には冷房を完備する。 - 作業着・保護具の見直し:
通気性の良い素材や、ファン付き作業着、ネッククーラー、クールベストといった
最新の防暑グッズの導入を検討する。
【作業者自身の健康管理】
- 体調確認の徹底:
朝礼時などに問診やチェックリストを用いて、睡眠不足や体調不良の従業員がいないか確認する。 - 水分・塩分の定期的な摂取:
「のどが渇く前」に水分を補給できるよう、時間を決めて休憩を取り
経口補水液やスポーツドリンク、塩飴などを常備する。
労務サポートでは、事業所の実態に合わせたリスクアセスメントの実施支援や
具体的な対策に関する安全衛生教育資料の提供も行っております。