2022年版中小企業白書について
中小企業庁は、「2022年版中小企業白書」を取りまとめ公表しました。
同白書では
新型コロナ感染症の流行や原油・原材料価格の高騰等の
外部環境の変化に直面する中小企業・小規模事業者の動向
中小企業・小規模事業者のそれぞれが自己変革に向けて
新たな挑戦を行うために必要な取組について、分析をしています。
1.総論 中小企業を取り巻く状況
中小企業・小規模事業者を取り巻く経営環境
2年に及ぶ感染症の流行や原油・原材料価格の高騰、部材調達難、人材不足といった供給面の制約もある中で、引き続き厳しい状況にある。
こうした中でも、中小企業を取り巻く需給構造の変化や
デジタル・グリーン化の進展等を踏まえ
事業再構築などに取り組みながら、必死に生き残りを図りつつ
次の成長に向けた取組を進めようとしている中小企業もある。
2.中小企業の足下の感染症対応
中小企業の経営取組状況
・中小企業における経営上の不安要素として
「原材料価格・燃料コストの高騰」や「人材不足・育成難」を挙げる割合が上昇。
また、経営基盤の強化に向けた注力分野としては、「人材の確保・育成」などの割合が上昇した。
・事業再構築は各業種で実施されている。
業種別に見た事業再構築の実施状況では「すでに行っている」とする企業割合は
宿泊業・飲食サービス業 21.8%、
小売業 15.8%、
不動産・物品賃貸業 14.0%となり
特に感染症の影響の大きい宿泊業・飲食サービス業で実施割合が高い
3.企業の成長を促す経営力と組織
成長を促す取組
・中小企業の成長を促すための取組として、今回の白書では
ブランド構築や人的資本への投資を始めとする無形資産投資に着目
ブランド構築についてブランドコンセプトの明確化や
従業員への浸透などを行うことが必要。
・また、中小企業が重視する経営課題は
人材 82.7%、
営業・販路開拓 59.7%、
組織 39.8%の順となっており
「ヒト」が最も重要視されているので
従業員の仕事に対する意欲向上の観点からも、従業員の能力開発に取り組むことが重要。
・さらに、人的資本への投資について
経営者が積極的に計画的なOJTやOFF-JTを実施し、従業員の能力開発を進めることが重要。
4.小規模事業者における事業見直し
事業の見直し
・事業見直しは、対象とする市場と提供する商品・サービスの2つの軸で考えることができるが
小規模事業者の現下における事業見直しは
既存の市場に既存の商品・サービスを組み合わせる「市場浸透」が69.6%と最も多く
次いで、既存の市場に新規の商品・サービスを組み合わせる「新商品開発」が53.5%。
新規の市場を対象とする「新市場開拓」「多角化」は少ない。
「市場浸透」における取組としては、情報発信に取り組む企業が最も多く取り組まれています。
・小規模事業者が事業見直しに取り組む際に直面する課題としては
知識・ノウハウの不足 30.9%、
販売先の開拓・確保 27.9%、
自己資金の不足 26.7%などが多く挙げられています。
5.共通基盤としての取引適正化とデジタル化
取引適正化・デジタル化
・コスト変動への対応だけでなく
中小企業における賃上げといった分配の原資を確保する上でも、取引適正化は重要。
・デジタル化の進展に取り組み
新たなビジネスモデルの確立につながる段階への到達を目指すことが重要。
感染症の前後で中小企業のデジタル化は進展した。
2021年現在、
段階4(デジタル化による競争力強化等に取り組む状態) 10.2%
段階3(デジタル化による業務効率化等に取り組む状態) 46.7%
段階1(紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない状態) 8.2%
となっています。
https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220426003/20220426003.html